民俗行事・鬼と厄
平成17年発行の図説内浦町史「ときの輝(ひかり)の中で」74頁では「
あえのこと」は田の神様をもてなす農家の「
伝統神事」であるのに対し、「
あまめはぎ」は怠け者を戒め、厄を払う「
民俗行事」として位置づけられています。
「あまめはぎ」では子供が鬼の面をつけて登場します。大辞泉(小学館)では「鬼」について以下のように説明されています。
@仏教、陰陽道に基づく想像上の怪物、人間の形をして、頭には角を生やし、口は横に裂けて鋭い牙をもち、裸で腰にトラの皮のふんどしを締める。性質は荒く、手に金棒を握る。地獄には赤鬼・青鬼が住むという。
A@のような人の意から「勇猛な人」、「冷酷で無慈悲な人」、「借金取り」、「ある一つのことに精魂を傾ける人」
B鬼ごっこや隠れん坊で、人を捕まえる役
C紋所の名、鬼の形をかたどったもの
D目に見えない超自然の存在
E飲食物の毒見役
本行事ではあえて子供たちが手作りの面をつける(@のような性格を表す)ことから、@ではなく、Aの意味合いを帯びているものと考えられます。また@であれば。裸でトラの皮のふんどしを締めるところ、
農作業の装いであることから、仕事に勢を出すよう
けしかける「人」と解するのが妥当と考えています。
「あまめはぎ」では「厄を払う」とあります。大辞泉では「厄」について以下のように定義されています。【漢字項目】
@わざわい、災難
A良くない巡り合わせ
一般に「厄払い」というとAの意味で使われることが多いと思いますが、本行事では
怠惰を避けることによって困窮という「
わざわい」を回避できるという意味で@と解するのが妥当と考えています。