所在地
  石川県鳳珠郡能登町
  字宇出津新23
  ふくべ鍛冶(新町通り)
  電話0768-62-0785
  7:30-19:30入館無料

伝統野鍛冶館


鍛冶職人
三代目 干場勝治氏

 鍛冶職人。それは鉄を加工し、さまざまな刃物を生み出す職人の称号である。石川県内では、年間を通じて鍛冶を行う職人は数人といわれている。
 この鍛冶という仕事を明治41年から3代にわたって守り続けているのが、宇出津の干場勝治さんだ。小さいころから父親の作業を見て育った干場さんが、本格的に鍛冶職人の道に進んだのは昭和37年、16歳のときだった。以来44年間、鉄をたたき刃を研ぎ続けてきた。
 ひとつの製品ができるまでに数々の工程を踏む鍛冶の仕事は「一通り覚えるまでに15年から20年はかかる」という。
(文と写真は町の広報誌「広報のと」N0.24より)

鍬(くわ)あれこれ
先の丸い鍬
 先の角ばった鍬

 秋から冬にかけては主にクワを作るという干場さんによると、地域や土質によってクワの形はさまざまとのこと。「海側だと波並までは先が丸く、矢波から穴水にかけては先が四角いクワを使う。山側だと柳田までが丸く、町野では四角いクワになる」と話す。
(文は町の広報誌「広報のと」N0.24より)

海のものあれこれ
上はアワビ取り、下右はマキリ
 夏場には海のものを作るという干場さんが特に力を入れているものが『マキリ』と呼ばれる小振りの包丁。「マキリは漁師の万能包丁。最近は釣り人にも重宝されている」ということだ。干場さんに鍛冶の仕事について聞くと「鉄がいろいろな形に変化していくのは楽しいし、ここでは海の道具と山の道具の両方作ることができるので変化がありおもしろい」と話してくれた。
         (文は町の広報誌「広報のと」N0.24より)

マニア向けのもの
上と右は蜀台、下は自在カギ
 「今でも作業の一つ一つが勉強です」と話す干場さんは、全国の鍛冶先進地や見本市などに足を運ぶなど研究も怠らない。視察に行って「先進地の物は、デザインに力を入れている」と感じたという。農作業の機械化などでクワやカマの需要が減少している中、鍛冶職人の生き残りをかけて「これからはデザイン性のあるマニア向けの物も作る必要がある」と考えている。
          (文は町の広報誌「広報のと」N0.24より)

製作-成型
一打ち一打ち心を込める
 工場内全景
 「どれだけ機械化が進んでもクワやカマがなくなることはない」とも話す干場さん。「とにかくいいものを作ること。そしてお客さんには大切に使ってもらいたい」と願っている。
          (文は町の広報誌「広報のと」N0.24より)

製作-焼入れ
焼入れ-刃物に命を吹き込む
 鍛冶職人の最高峰である刀鍛冶も使うという松炭を使用し、焼入れ(仕上げ前の刃物に熱を入れる作業)に使う油は、入れ替えることなく代々継ぎ足すなど、職人としてのさまざまなこだわりを見せる干場さんが最もこだわっていることが『鉄』ということだ。最近はステンレスなど鉄以外の刃物も増えているが「鍛冶屋は鉄でできる物の便利屋です」ときっぱり。
          (文は町の広報誌「広報のと」N0.24より)

製作-砥ぎ
心を込めて最後の仕上げ
 『カン、カン、カン…』宇出津郊外にある作業場では、干場さんが鉄をたたく小気味良いリズムが響き渡る。「鉄を加工する最も良い状態は一瞬しかない。その状態を見極めることは、鉄と火とわたしとの戦い」と話す干場さん。これからも『鉄』と向き合い、『鉄』をたたき続ける。
          (文は町の広報誌「広報のと」N0.24より)

野鍛冶館
店舗の一角を改装した展示室
フイゴ等、昔使っていた道具類

写真左は干場さんのお店の一角を展示コーナーに活用、右は昔使っていた道具類の展示

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